オーストラリアでシェフを目指したい人や、永住権の可能性も視野に入れている人にとって、「クッカリーに行くべきかどうか」はかなり大きなテーマだと思います。
実際、調理学校に通えば資格が取れて、現地の現場にも入りやすくなり、将来的にはスポンサーや永住権にもつながる――そんなイメージを持っている人は多いはずです。
私自身も、オーストラリアで Wells International College に通い、Certificate III を取得しました。
途中でシドニー校からブリスベン校へ移り、その後は Certificate IV まで進んだものの、最終的には途中で辞める判断をしています。
その上で今思うのは、クッカリーは「意味があるかないか」で単純に切れるものではないということです。
行く価値がある人もいれば、正直そこまでおすすめできない人もいます。
この記事では、実際に通った経験と、現場で働いた経験の両方を踏まえて、オーストラリアのクッカリーの価値と限界をできるだけ率直に整理します。
結論|クッカリーは「人によっては意味がある」が、万能ではない
最初に結論から言うと、クッカリーは 人によっては意味があります。
特に、未経験から現地のキッチンに入るための入口としては、一定の役割があります。
ただし、よくある誤解は「クッカリーに行けば何とかなる」という考え方です。
私はそこにはかなり違和感があります。
学校に通えば、自動的に技術が身につき、良い仕事が見つかり、永住権にもつながる。
そういう一直線の話ではまったくありません。
実際には、
- 学校で学べることには限界がある
- 現場で求められるものは別
- 学費と時間の負担は軽くない
- 目的によって費用対効果が大きく変わる
という現実があります。
つまり、クッカリーは使い方を間違えなければ意味があるけれど、
それ自体がゴールになるようなものではないというのが私の考えです。
私が通った学校とざっくりした流れ
私が通ったのは Wells International College です。
最初はシドニー校に通い、その後ブリスベンに移る流れの中で、学校もブリスベン校へ転校しました。
こういう動きができたのは、学校側の仕組みやタイミングにもよると思いますが、少なくとも私の場合は、シドニーからブリスベンへの転校という形で継続することができました。
このあたりは、これから通学を考えている人にとって意外と気になるポイントだと思います。
「都市をまたいで通えるのか」「校舎が変わっても継続しやすいのか」は、長期で考えると地味に大事です。
私は最終的に Certificate III を取得し、その後は Certificate IV に進みました。
ただ、Certificate IV は途中で辞めています。
ここについては後半で詳しく書きますが、結論だけ先に言うと、
途中でビザの前提が変わり、学校を続ける合理性が自分の中で薄れたからです。
クッカリーで学べること
クッカリーの価値を考えるとき、まず冷静に見ておくべきなのは「何が学べるのか」です。
学校で学べることは、ゼロではありません。
特に未経験者にとっては、以下のような意味があります。
1. 調理の基礎だけでなく、オーストラリアの衛生ルールや考え方を学べる
クッカリーで学べることは、単なる包丁技術やレシピだけではありません。
私が実際に通っていて大きかったと感じたのは、オーストラリアの衛生ルールや食品安全の考え方をあらためて学べたことです。
日本の飲食現場は、制度や罰則の面ではオーストラリアほど厳しくない部分もあります。
それでも、昔からしっかりした職人がいる店では、現場の感覚として衛生管理が徹底されていることが多いと思います。
一方で、最近は経験の浅い人だけで回しているような店も増えていて、店によっては衛生管理がかなり甘いと感じる場面もあります。
私は以前、ニューヨークで店の立ち上げに関わった時に、Food Protection Certificate の勉強をして資格も取得しました。
そういう経験があったからこそ、オーストラリアであらためて衛生や法律のルールを学べたのは、単なる初心者向けの知識以上に意味があったと感じています。
つまり、クッカリーで学べる価値は「料理の技術」だけではなく、
その国で働く上で必要な衛生基準や法律の前提を整理できることにもあります。
これは現場経験がある人にとっても、意外と無駄ではない部分でした。
2. 英語環境に慣れるきっかけになる
調理そのものだけでなく、英語で授業を受ける、指示を理解する、クラスメイトとやり取りする、という経験もあります。
もちろん、これだけで現場英語が十分になるわけではありません。
ただ、まったく英語環境に入ったことがない人にとっては、最初の慣らしとしては意味があります。
3. 現地の学校・資格の流れを経験できる
オーストラリアの教育システムや、留学生としての生活、学校とのやり取り、スケジュール管理など、日本とは違う感覚を実際に経験できます。
これは地味ですが、移住や就労を含めて考えると、最初のハードルを下げる要素にはなります。
ただし、学校で学びにくいことも多い
一方で、ここを過大評価すると危ないとも思っています。
クッカリーに通っていて強く感じたのは、学校で学べることと、現場で本当に必要なことはかなり違うということです。
1. 現場のスピード感は学校では再現しにくい
実際のキッチンでは、時間、プレッシャー、同時進行、仕込み量、人間関係など、学校とは比べものにならない要素があります。
学校でひとつずつ覚えることと、営業中の現場で回すことはまったく別物です。
この差は思っている以上に大きいです。
2. 店ごとのオペレーションは現場でしか覚えにくい
どの順番で動くか、どこまで仕込むか、どのタイミングで何を優先するか。
こういうものは、結局は店ごとの文化やヘッドシェフの考え方に左右されます。
つまり、クッカリーを出たからといって、すぐどの店でも戦力になれるわけではありません。
3. 高い技術や判断力は学校だけでは身につきにくい
学校で基本は触れられても、スピード、精度、再現性、応用力、判断力は、やはり現場経験の比重が大きいです。
特に、永住権やスポンサーまで視野に入れるなら、単に学校に通っただけでは届かない部分がかなりあります。
プロのシェフ目線で見ると、クッカリーはどうなのか
ここはかなり大事ですが、見る立場によって評価が変わると思っています。
私のように、すでに飲食経験がある状態でクッカリーに入ると、正直「知っていることも多い」と感じやすいです。
学ぶことがゼロではないにしても、時間と学費をかける価値があるかというと、かなり微妙に感じる場面もあります。
一方で、未経験者にとっては、入口としての意味はあります。
少なくとも、いきなり現場に入って完全に何も分からない状態よりは、基本の考え方に触れておく意味はあります。
ただ、それでも私は、クッカリーを過信するのは危険だと思っています。
学校はあくまで入口です。
その先の現場でどう働くか、どんな店に入るか、どれだけ継続して経験を積めるかの方が、結果的にははるかに大きいです。
なので、クッカリーの価値を一言で言うなら、
未経験者には一定の意味がある。
でも、経験者にとっては費用対効果をかなり冷静に見た方がいい。
これが私の率直な感想です。
Wells International Collegeに通って感じたこと
ここは学校名を出しているので、必要以上に感情的に書くつもりはありませんが、実際に通った立場として感じたことはあります。
まず、学校という性質上、当然ながら「現場のプロ養成所」ではありません。
教育機関なので、授業の進み方にも限界がありますし、学ぶ側の温度差もあります。
本気で技術を高めたい人もいれば、とりあえず資格が欲しい人もいます。
その中で進むので、クラス全体の熱量やレベルにバラつきがあるのは自然です。
だからこそ、学校に行けば勝手にレベルアップする、という期待は持たない方がいいと思います。
学校をどう使うかは、結局本人次第です。
私は Wells での経験そのものを全否定する気はありません。
実際、オーストラリアでの生活や学校の流れを知る上では意味がありました。
ただし、「学校に行ったから十分」と思うのは違う。
それはかなり強く感じています。
シドニーからブリスベンへ転校したことについて
私の場合、シドニーからブリスベンに移る流れの中で、学校も同じくブリスベン校へ移ることになりました。
これは人によって事情が違うと思いますが、都市移動と学校継続の両方を考えている人にとっては参考になるかもしれません。
オーストラリアでは、都市が変わるだけで生活コストや仕事環境だけでなく、学校生活の感覚も変わります。
シドニーとブリスベンでは街のテンポも違いますし、通学の負担感や周囲の空気も違います。
このあたりは、単に「どの学校か」だけでなく、どの都市で生活するかとセットで考えた方がいいです。
学校選びだけを独立して考えると、あとから「思っていたのと違った」となりやすいと思います。
私がCertificate IVを途中で辞めた理由
ここはかなり大事なポイントです。
私は Certificate III を終えた後、Certificate IV に進みました。
でも最終的には途中で辞めています。
理由を一言で言うなら、続けるメリットより、辞めるメリットの方が大きくなったからです。
その時点で私はすでに現場経験があり、Certificate IV で扱う内容にも、自分にとっては重複を感じる部分がありました。
さらに、パートナービザが下りたことで、そもそもの前提が大きく変わりました。
学生ビザのような制限の中で学校に通い続ける意味と、制限のないビザを持った状態で時間を使う意味は、まったく違います。
私の場合は、そこで一度冷静に考えました。
- このまま学校に時間とお金を投じる意味はどれくらいあるのか
- その時間をフルタイムで働くことに使った方がいいのではないか
- さらに言えば、自分のコンテンツ制作にリソースを回した方が将来的に大きいのではないか
その結果、私は辞める判断をしました。
これは「学校が悪いから辞めた」という話ではありません。
自分にとって、その時点での費用対効果が合わなくなったということです。
クッカリーに向いている人、向いていない人
ここまでの話を踏まえると、クッカリーに向いている人と、あまり向いていない人はかなり分かれると思っています。
向いている人
- 調理未経験で、まず基礎に触れたい人
- 現地の学校生活や英語環境に慣れたい人
- 最初の入口として学校を使いたい人
- 学校をゴールではなく手段として割り切れる人
あまり向いていない人
- 学校に行けば自然に仕事や永住権につながると思っている人
- すでに現場経験があり、基礎部分に大きな価値を感じにくい人
- 学費と時間の重さを深く考えていない人
- 目的が曖昧なまま、とりあえず進学しようとしている人
クッカリーは、行くこと自体が正解でも不正解でもありません。
ただ、目的が曖昧なまま行くと、かなり割に合わない可能性があるとは思います。
結論|クッカリーは「手段」であって「目的」ではない
オーストラリアの調理学校(クッカリー)には、たしかに意味があります。
特に未経験者にとっては、基礎に触れ、現地生活に慣れ、最初の一歩を踏み出す場所として一定の価値があります。
でも、そこに過剰な期待をかけるのは危険です。
学校に行けば何とかなる。
資格を取れば道が開ける。
そういう単純な話ではありません。
学校で学べることには限界がありますし、本当に問われるのは、その後どんな現場に入り、どう経験を積み、どう判断していくかです。
私自身、実際に通ってみて、途中で辞める判断もしました。
だからこそ今は、クッカリーを「行くべきか、行かないべきか」で考えるより、
自分にとってその時間とお金が本当に見合うのかで考えるべきだと思っています。
次に考えたいのは、もっと現実的な話です。
もしクッカリーを経由して、あるいは経由せずにシェフとして働くなら、シドニーとブリスベンではどちらが現実的なのか。
次の記事では、給料、チップ、生活コスト、交通、働きやすさまで含めて、シドニーとブリスベンを比較していきます。











コメントを残す